離婚・男女問題

2024/08/28 離婚・男女問題

養育費とは~算定方法や支払い期間について~

 

 本コラムでは、養育費について説明します。

 

1、養育費とは

2、養育費の算定方法

3、養育費支払いの始期と終期

 

1、養育費とは

 養育費とは、未成熟の子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。未成熟の子どもは、経済的にも社会的にも自身で自立して生活することができないため、自立するまでの期間にかかる子どもの衣食住に必要な費用のほか、教育費、医療費などが養育費に含まれます。

 離婚し、親権者でなくなった場合であっても、子どもの親であることに変わりはないため、子の監護費用の分担(民法7661項)として、養育費を分担すべき義務を負います。

 

2、養育費の算定方法

 養育費は、大まかに説明すると、親双方の収入を基準に負担額が決められます。実務上は、東京と大阪の裁判官による司法研究の研究報告として提案された標準算定方式・算定表(令和元年版)が用いられることが一般的です。

 算定表では、子の年齢・人数と双方の収入を基に、およその養育費の額が定められています。具体的な計算方法(標準算定方式)は以下のとおりです。

①総収入の認定

 まずは、当事者双方の総収入(年間収入)を認定します。

 総収入の認定においては、給与所得者であれば、源泉徴収票、自営業者であれば、確定申告書が用いられます。課税証明書が用いられることもあります。

 ここでいう総収入は、給与所得者でいうところの額面の給与となります。

 

②基礎収入の認定

 総収入を認定した後、「基礎収入」と呼ばれるものを算定します。

 総収入全てを生活費に回せるわけではないため、総収入から通常生ずる諸経費を控除して、基礎収入を算定します。

 具体的には、総収入から公租公課、職業費、特別経費を差し引いたものになります。

 公租公課、職業費、特別経費についての統計データから所得に応じた基礎収入割合が出されており、総収入に下記の基礎収入割合を乗じて基礎収入を算定することができます。

 

 

③子の生活費の算定

 次いで、子の生活費を算定します。子の生活費とは、子どもが義務者と同居していると仮定した場合に、子どもに充てられていたはずの生活費です。

 具体的には、以下の式で算出されます。

 子の生活費

=義務者の基礎収入×子の生活費指数(62or85)÷(義務者の生活費指数(100)+子の生活費指数(62or85))

なお、子の生活費指数は、0~14歳は62、15歳以上は85とされています。

義務者の基礎収入が、400万円、子が15歳というケースでは、

400万×85÷185=183万7837円が子の生活費(年間)となります。

 

④義務者の養育費分担額の決定

 上記を基に、義務者が支払う養育費分担額を決定します。

 これは、

 子の生活費(上記③)×義務者の基礎収入÷(義務者の基礎収入+権利者の基礎収入)

という式で算定されます。

 上記の事情は変わらず、権利者の基礎収入が200万円であるとすると、

183万7837円×400÷600=122万5224円

が義務者が負担すべき養育費(年額)となります。

 

3、養育費支払いの始期と終期

 養育費の支払の始期は、実務上、権利者が請求した時点(調停や審判を申し立てた場合はその時点、それ以前に内容証明で請求をしていた場合にはその時点)とされる傾向にあります。もっとも、事情によっては、請求時より以前の時点からの支払いを認めるケースもあります。

 養育費の支払いの終期は、子どもが自立して生活できるまでであり、成人したからといって直ちに未成熟子でなくなり、養育費の分担義務を負わなくなるものではありません。

 実務上は、20歳までとするケースが多いものと考えられますが、大学卒業までとすることも珍しくはありません。

 養育費の支払義務の周期は、「それぞれの事案における、諸般の事情、例えば、子の年齢、進路に対する意向及び能力、予測される子の監護の状況、両親が子に受けさせたい教育の内容、両親の経済状況、両親の学歴等の個別事情等に基づく、将来のどの時点を当該子が自立すべき時期とするかの認定、判断によって決すべきこととなる」(司法研修所編「養育費、婚姻費用の算定に関する実証的研究」60頁(法曹會、2019))とされており、このような個別事情を踏まえて、判断されます。

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