2024/09/16 不動産
借地権の存続期間
本コラムでは、借地権の存続期間について簡単に説明します。
1、借地借家法上の借地権の存続期間
2、借地借家法上の借地権の更新後の期間
3、旧借地法上の借地権の存続期間
4、旧借地法上の借地権の更新後の期間
1、借地借家法上の借地権の存続期間
借地借家法第3条は、「借地権の存続期間は、30年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」と定めています。
旧借地法とは異なり、堅固建物、非堅固建物を問わず、一律で30年となります。
30年より短い期間を定めた場合であっても、契約期間は30年とされます。事業用定期借地(借地借家法23条)や一時使用目的の借地権(借地借家法25条)の場合には例外があります。
なお、30年より長い期間を当事者が合意した場合には、その期間となります。
2、借地借家法上の借地権の更新後の期間
借地借家法第4条は、「当事者が借地契約を更新する場合においては、その期間は、更新の日から10年(借地権の設定後の最初の更新にあっては、20年)とする。ただし、当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。」と定めています。
旧借地法とは異なり、堅固建物、非堅固建物を問わず、一律で30年となります。
更新後の借地契約の存続期間は、最初の更新については20年、その後は10年となります。
これより短い期間を当事者が合意した場合であっても、最初の更新については20年、その後の更新については10年となります。
3、旧借地法上の借地権の存続期間
平成4年7月31日以前に成立した借地契約については、旧借地法が適用されます。
旧借地法第2条1項は、「借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ六十年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ三十年トス但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス」と定めています。
存続期間の合意がない場合には、石造、土造、煉瓦造等の堅固建物については、60年、その他の非堅固建物については、30年の存続期間となります。
また、旧借地法第2条2項は、「契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付三十年以上、其ノ他ノ建物ニ付二十年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス」と定めています。
そのため、合意によって、存続期間を堅固建物については30年以上、非堅固建物については20年以上と定めることも可能です。
なお、存続期間について、堅固建物については30年、非堅固建物については20年を下回る期間を定めた場合の借地権の存続期間については、「当事者が、右二項所定の期間より短い存続期間を定めたときは、その存続期間の約定は、同法二条の規定に反する契約条件にして借地権者に不利なものに該当し、同法一一条により、これを定めなかつたものとみなされ、当該借地権の存続期間は、右二条一項本文所定の法定期間によつて律せられることになるといわなければならない」(最判昭和44年11月26日民集23巻11号2221頁)とされており、堅固建物については60年、非堅固建物については30年となります。
4、旧借地法上の借地権の更新後の期間
平成4年7月31日以前に成立した借地契約については、旧借地法が適用されます。
旧借地法第5条1項は、「当事者カ契約ヲ更新スル場合ニ於テハ借地権ノ存続期間ハ更新ノ時ヨリ起算シ堅固ノ建物ニ付テハ三十年、其ノ他ノ建物ニ付テハ二十年トス此ノ場合ニ於テハ第二条第一項但書ノ規定ヲ準用ス」と定めています。
そのため、更新後の存続期間を定めなかった場合には、堅固建物については30年、非堅固建物については20年となります。
なお、同法第5条2項は「当事者カ前項ニ規定スル期間ヨリ長キ期間ヲ定メタルトキハ其ノ定ニ従フ」と規定しており、堅固建物については30年、非堅固建物については20年より長い期間を定めた場合には存続期間は同期間となります。