不動産

2024/10/02 不動産

借地契約更新後の建物滅失と再築について

 

 本コラムでは、借地借家法が適用される借地権における、借地契約更新後の建物滅失と再築について説明します。

 

1、借地契約更新後の建物再築

2、借地権設定者による解約

3、借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可

4、旧借地法の適用される借地契約との異同

 

1、借地契約更新後の建物再築

 借地借家法の適用される借地契約の更新後に建物が滅失した場合の建物再築について、借地借家法8条2項は、「借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができる。」と規定しています。

 したがって、借地契約の更新後に借地権者が借地権設定者の承諾を得ずに、残存期間を超えて存続する建物を建てた場合には、借地権設定者はこれを解約することができます。

 借地契約の更新前に滅失した建物の再築については、借地権者は借地権設定者の承諾を得ずに行うことができますが、更新後に滅失した建物の再築については異なることになります。

 

2、借地権設定者による解約

 上記の借地借家法8条2項の規定のとおり、借地権設定者は、借地契約の更新後に借地権者が借地権設定者の承諾を得ずに、残存期間を超えて存続する建物を建てた場合に、賃貸借契約の解約の申入れをすることができます。

 また、解約申入れの効果について、借地借家法8条3項は、「前二項の場合においては、借地権は、地上権の放棄若しくは消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れがあった日から3月を経過することによって消滅する。」と規定しています。

 そのため、借地権設定者による解約の申入れがあった日から3か月を経過したときに借地権は消滅することになります。

 また、解約の申入れについて、正当事由の有無は問題とされません。

 

3、借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可

 上記のとおり、借地契約の更新後に借地権者が借地権設定者の承諾を得ずに、残存期間を超えて存続する建物を建てた場合には、借地権設定者から解約される場合があります。

 そこで、借地権者は、借地権設定者から建物再築の承諾を得られない場合に、借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可を得ることが選択肢として考えられます(借地借家法18条1項前段)。どのような場合に借地権設定者の承諾に代わる裁判所の許可を得られるかについては、別のコラムで説明します。

 

4、旧借地法の適用される借地契約との異同

 借地法の適用される借地契約(平成4年8月1日より前に締結されたもの)においては、更新の前後を問わずに再築自体は認められており、借地借家法の適用される借地契約と扱いが異なる点に注意が必要です。

 

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