不動産

2024/09/08 不動産

借地借家法の適用と建物所有目的について

 

 本コラムでは、借地借家法の適用と建物所有目的について、簡単に説明します。

 

1、借地借家法の適用のある土地の賃貸借契約について

2、建物所有目的

 

1、借地借家法の適用のある土地の賃貸借契約について

 土地の賃貸借に借地借家法が適用されると、借地権者は存続期間や更新、終了といった多くの点で保護を受けるため、土地の賃貸借契約において、借地借家法の適用の有無は非常に大きな影響を与えます。

 借地借家法第1条は、「建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。」と規定しており、同法21号は、借地権の定義について、「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。」と規定しています。

 このように、土地の賃貸借について、借地借家法の適用対象となるには、「建物の所有を目的とする」ものであることが要件となります。

 

2、建物所有目的

 建物所有目的について、判例(最判昭和42125日民集21102545頁)は、「「建物ノ所有ヲ目的トスル」、とは、借地人の借地使用の主たる目的がその地上に建物を築造し、これを所有することにある場合を指し、借地人がその地上に建物を築造し、所有しようとする場合であっても、それが借地使用の主たる目的ではなく、その従たる目的にすぎないときは、右に該当しないと解するのが相当である。」と述べています。

 同判例を前提とすると、「借地人の借地使用の主たる目的がその地上に建物を築造し、これを所有することにある場合」に建物所有目的が認められます。

 建物所有が主たる目的ではない場合には、建物所有目的の要件を満たさず、借地借家法の適用がないことになります。

 また、ここにいう「建物」とは、借地法に所謂建物とは成規の手続を経て建築し家屋台帳等公の帳簿に登録され課税の対象となっているものに、限定されるものではなく、建物の意義は一般通念に従って解されるものとされます(最判昭和281224日民集7巻131633頁)。

 具体的には、住居、営業、貯蔵等の目的で使用される独立性のある建物であると考えられます。

 この点については、「同法にいう建物とは宅地に定着して建設された永続性を有する建物で屋蓋、周壁を有し、住居、営業、貯蔵またはこれに準ずる用に供されるものであって独立した不動産として登記されるものでなければならないと解される」とした裁判例(東京地判昭和431023日判時55259頁)が参考になります。

 なお、同裁判例の事案では、地面に直接丸太を建て、上方を自動車に雨がかからない程度比トタンで蔽ったにすぎない堀立式の車庫について、借地法にいう建物とはいえないと判断されています。

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