相続・遺言

2024/09/06 相続・遺言

遺言執行者の指定・選任について

 

 本コラムでは、遺言執行者の選任について説明します。

 

1、遺言執行者の指定及び選任

2、遺言執行者になることができるもの

3、遺言執行者が必要な場合

 

1、遺言執行者の指定及び選任

⑴遺言による指定

 民法10061項は、「遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。」と定めています。

 遺言者が遺言により、指定するほか、遺言で、指定を第三者に委託することができます。いずれも必ず遺言でしなければなりません。

 執行すべき事項を定めた遺言と別の遺言によって執行者のみ指定することも可能です。

 遺言執行者の指定の委託については、民法10063項は、「遺言執行者の指定の委託を受けた者がその委託を辞そうとするときは、遅滞なくその旨を相続人に通知しなければならない。」と規定し、委託を受けた者が承諾しない場合があることを前提としており、諾否の自由を有しています。

 遺言執行者の指定を受けた者は、就任する否かについて諾否の事由があるため、遺言で指定されていたとしても収入を拒むことができます。

 なお、民法1008条は、「相続人その他の利害関係人は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に就職を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。」としており、相続人その他の利害関係者は、遺言執行者に対し、相当の期間を定めて、就任を承諾するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。遺言執行者が相当の期間内に確答をしないときは、就職を承諾したものとみなされます。

 

⑵家庭裁判所による選任

 民法1010条は、「遺言執行者がないとき、又はなくなったときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によって、これを選任することができる。」と定めており、遺言執行者がいない又はいなくなったときは、利害関係人が家庭裁判所に請求することによって、遺言執行者を選任することができます。

 遺言執行者がいない場合とは、遺言執行者の指定がそもそもされていないときのほか、指定を受けた者が就職を拒否した場合等が考えられ、遺言執行者がいなくなった場合とは、遺言執行者が辞任した場合や死亡した場合が挙げられます。

 利害関係人とは、相続人のほか、遺言者の債権者、遺贈を受けた者等です。

 選任は、家庭裁判所が選任の必要性を判断したうえで、裁量によって行いますが、審判に当たっては、遺言執行者となるべき者の意見を聴く必要があります。

 なお、家庭裁判所によって遺言執行者に選任された者であっても、遺言執行者への就任については、諾否の自由を有します。

 

2、遺言執行者になることができるもの

 遺言執行者は、自然人に限らず、法人でもなることができます。

 また、相続人については、一部遺言執行者になることはできないという考えもありますが、相続人であっても遺言執行者になることができるとする考えが多数であり、実務上も相続人が遺言執行者となるケースは多くみられます。

 なお、未成年者及び破産者は遺言執行者になることができません(民法1009条)。

 

3、遺言執行者が必要な場合

 遺言による認知は、遺言執行者が行う必要があるため、遺言執行者が必要となります。

 また、遺言による相続人の廃除についても、遺言執行者が家庭裁判所に請求するものとされており、遺言執行者がしなければならないため、この場合にも遺言執行者が必要となります。

 

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