不動産

2024/10/01 不動産

借地権の存続期間満了前(更新前)の建物再築と借地権の期間延長(借地借家法第7条)

 本コラムでは、借地借家法が適用される借地権について、存続期間満了前(更新前)の建物再築と借地権の期間の延長について説明します。

   

1、借地権の存続期間満了前(更新前)の建物再築の可否

 借地借家法が適用される借地権について、存続期間満了前(更新前の初回の存続期間満了前)に建物が滅失した場合であっても、これにより借地権が消滅するものではなく、借地権者は建物の再築をすることができます。
 残存期間が同一である建物の再築自体には、借地権設定者の承諾を要しません。
 もっとも、滅失後に再築された建物については、当初の借地権の存続期間を超える耐用年数となるものが多いため、借地権者の側からは、借地契約の期間延長が好ましいものとなります。他方で、期間延長による借地権設定者の側の負担も考慮する必要があります。
そこで、借地借家法7条1項は、一定の条件の下に、建物が再築された場合の借地権の存続期間延長を認めています。

 

2、借地権の存続期間満了前(更新前)の建物再築と期間の延長

⑴ 期間が延長される場合

 借地借家法7条1項は、「借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失(借地権者又は転借地権者による取壊しを含む。以下同じ。)があった場合において、借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合に限り、借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する。ただし、残存期間がこれより長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間による。」と規定しています。
 ①借地権の存続期間が満了する前に建物の滅失した場合に、②借地権者が残存期間を超えて存続すべき建物を築造し、③その建物を築造するにつき借地権設定者の承諾がある場合が期間延長の要件となります。

ア 存続期間満了前の建物の滅失

 借地権の存続期間が満了する前に建物が滅失していることが要件となります。
 建物の滅失については、天災等による滅失のほか、括弧書きで明記されているとおり、借地権者自身による取り壊しも含まれます。

イ 借地権者による残存期間を超える建物の築造

 借地権者自らが建物を再築する必要があります。適法な転借地権を有する転借地権者による再築も含まれます(借地借家法7条3項)が、土地使用権原を有しない第三者による再築の場合には、認められません。

ウ 借地権設定者による承諾

 建物の再築について、借地権設定者の承諾があることが必要です。承諾は、書面のほか、口頭でも認められます。
建物再築がなされる前の承諾、後の承諾いずれでもよいものと考えられています。
 また、借地借家法7条2項本文は、「借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知した場合において、借地権設定者がその通知を受けた後2月以内に異議を述べなかったときは、その建物を築造するにつき前項の借地権設定者の承諾があったものとみなす。」と規定しており、借地権者が借地権設定者に対し残存期間を超えて存続すべき建物を新たに築造する旨を通知し、借地権設定者がその通知を受けた後、2カ月以内に異議を述べなかった場合には、承諾したものとみなされます。
 なお、ここでの「異議」については、正当事由は不要と考えられています。

⑵ 延長後の期間

 上記の要件を満たし、借地権の期間延長がなされる場合、「借地権は、承諾があった日又は建物が築造された日のいずれか早い日から20年間存続する」(借地借家法7条1項)ものとされます。
 なお、残存期間が20年より長いとき、又は当事者がこれより長い期間を定めたときは、その期間によることとなります。

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