2024/09/30 不動産
建物買取請求権が認められる場合について
本コラムでは、建物買取請求権(借地借家法13条)が認められる場合について、簡単に説明します。
目次
1、建物買取請求権とは
借地借家法13条1項は、「借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。」と規定しています。
借地権の存続期間が満了し、契約の更新がなされない場合に、借地権者が、借地権設定者に対して、借地上の建物の買取を求めることができる権利です。
民法の賃貸借契約の規定からすると、契約が終了する以上、借地人は、自らが建てた建物を収去して土地を明け渡さなければいけませんが、借地権者が建物のために投下した資本の回収といった点から、建物買取請求権が認められています。
2、建物買取請求権が認められる場合
建物買取請求権が認められるためには、①借地権の存続期間が満了し、②借地上に借地権者が権原により附属させた建物が存在することが必要となります。
⑴借地権の存続期間の満了
ア 借地権の存続期間の満了
建物買取請求権が認められる前提として、借地権の存続期間が満了し、契約の更新がないことが必要です。
具体的には、
・存続期間が満了したが借地権者の側から更新請求がなされなかった場合
・借地権者が更新請求をしたが、借地権設定者が異議を述べ、かつ異議を述べることに正当な事由があるものとされた場合
・存続期間の満了後も、借地権者が土地を継続使用し、これに借地権設定者が異議を述べ、かつ異議を述べることに正当な事由があるものとされた場合
といったケースが挙げられます。
イ 債務不履行による契約終了
上記のとおり、建物買取請求権が認められる前提として、借地借家法13条1項は、「借地権の存続期間が満了した場合」と定めています。ここで、借地権者に地代の未払い等があり、債務不履行によって、契約が解除されたような場合にも、存続期間の満了として、建物買取請求権が認められるかが問題となります。
この点、債務不履行解除の場合であっても、建物買取請求権を肯定する見解も見られますが、判例(最判昭和35年2月9日民集14巻1号108頁)は、「借地法四条二項の規定は誠実な借地人保護の規定であるから、借地人の債務不履行による土地賃貸借解除の場合には借地人は同条項による買取請求権を有しないものと解すべきである」として、債務不履行解除による契約終了の場合の建物買取請求権を否定しています。
ウ 合意解約による契約終了
借地権者と借地権設定者の合意によって借地契約が解約(解除)された場合について、存続期間の満了として、建物買取請求権が認められるかが問題となります。
この点について、判例(最判昭和29年6月11日判タ41号31頁)は、合意解約の場合には、買取請求権の放棄が前提となっているとして、建物買取請求権の行使を否定しています。
もっとも、学説上は、合意解約の場合であっても、建物買取請求権は認められるとする見解も見られます。
⑵ 借地上の建物の存在
建物買取請求権が認められるためには、存続期間の満了時に借地上に建物が存在する必要があります。建物が滅失していたような場合には、認められません。