2024/08/02 離婚・男女問題
不倫で高額慰謝料が認められたケースの紹介
本コラムでは、不貞で高額慰謝料が認められたケースを紹介します。
1、はじめに
2、慰謝料の算定要素
3、高額慰謝料が認められたケースの紹介
4、おわりに
1、はじめに
配偶者のある者が、配偶者以外の者と性的関係を結んだ場合、民法上の不法行為として、慰謝料の請求が認められる場合があります。これを一般には、不倫慰謝料或いは不貞慰謝料といいます。
不倫慰謝料は常に決まった額が認められるものではなく、不倫の態様や、家族の状況、被った精神的苦痛の大きさ等に応じて、その額が異なります。
本コラムでは、不倫で高額な慰謝料が認められたケースを紹介します。
2、慰謝料の算定要素
不倫慰謝料の算定に当たって考慮される要素としては、以下のようなものが挙げられます。
・夫婦の関係性
・婚姻期間
・子の有無
・不貞行為の態様(期間・回数・場所)
・不貞行為が夫婦関係に与えた影響
・謝罪・反省の有無
3、高額慰謝料が認められたケースの紹介
⑴東京地判令和3年1月20日
この裁判例では、下記のような事案で、300万円の慰謝料を認めました。
・夫の不貞
・不貞相手の女性が夫の子を妊娠、出産
・夫婦の間には不貞の時点で幼い子が二人
・不定の時点で婚姻期間は10年以上
・夫婦関係は円満
・不貞の結果別居に至った
・夫は不貞相手及びその子どもと同居し、妻が同居を解消するよう求めても応じず。
⑵東京地判平成30年10月30日
この裁判例では、下記のような事情を考慮し、300万円の慰謝料を認めました。
・夫の不貞
・不貞期間約4年
・婚姻期間35年以上
・妻は、複数回にわたり自殺を図った
・本人尋問における被告の供述態度
⑶東京地判平成25年8月23日
この裁判例では、下記のような事案で、350万円の慰謝料を認めました。
・夫の不貞
・夫は、自宅を出て他所で不貞相手の女性と同棲
・不貞の結果婚姻関係が破綻
・婚姻期間は約18年
・扶養を要する子どもあり
・夫は、妻や子どもの住むマンションの住宅ローン支払いを停止し、妻らは退去を余儀なくされた。
4、おわりに
以上、高額な慰謝料が認められた裁判例の一部を紹介しました。不倫相手との間に子どもができたようなケースや、婚姻関係が長期間であるケース、未成熟子がいるようなケースでは高額になりやすい傾向があります。また、そのほかにも、行為態様が悪質であることや、反省が見られないこと等も考慮されて比較的慰謝料が高額となるケースも見られます。
不貞慰謝料の請求に当たっては、主張立証にも注意する必要がありますので、一度弁護士に相談されることをお勧めします。